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The Anointed / アノインテッド

ゴスペル人名辞典

90年代のCCMシーンで最も成功した黒人アーティスト

1990年代のコンテンポラリー・クリスチャン・ミュージック(CCM)界において、注目すべき存在だったのが、ソウルフルなボーカルとポップなリズムを駆使するアーティストグループ「アノインテッド」です。このグループは、その時代において最も成功した黒人アーティストの一組として、CCM音楽界の頂点に立ちました。

アノインテッドは元々4人組としてスタートし、その後トリオ、そしてデュエットへと変遷しました。彼らの音楽は、当時のCCM界において黒人アーティストが直面していた困難にもかかわらず、多くのリスナーに受け入れられました。その理由の一つは、彼らのユニークなサウンドにあります。ソウルミュージックの影響を受けた彼らのボーカルスタイルと、ポップミュージックの要素を融合させた楽曲は、当時のCCM界で新鮮な風を吹き込みました。

「The Call」、「Revive us」、「Under The Influence」、「It’s in God’s Hands Now」などのヒット曲は、アノインテッドの評判を不動のものとし、特にヤングアダルトのファン層に強い支持を受けました。これらの楽曲は、彼らのアーティスティックな才能と深い信仰心を反映したもので、CCM界において彼らの地位を確固たるものとしました。

アノインテッドの音楽は、CCM界における多様性の増加と、ジャンルの枠を超えた音楽性の受容に大きく貢献しました。彼らの成功は、黒人アーティストがCCM界で成功を収める道を切り開くのに一役買い、後のアーティストたちにとって大きなインスピレーションとなっています。

2作目「The Call」の大ヒットで一躍スーパースターに

アノインテッドのオリジナルメンバー4人は、全員がオハイオ州コロンバスで生まれ、地元の教会で歌い育ちました。スティーブ・クロフォードと彼の妹ダドラ・クロフォード・グレートハウス、幼馴染のメアリー・ティラーとデニス・ウォールズは、1992年頃にアノインテッドを結成しました。このグループは間もなく、インディペンデント・レーベル「ブレインストーム・レコード」と制作契約を結びます。

アノインテッドは自らプロデュースと作曲を手掛け、2週間でデビューアルバム「Spiritual Love Affair」をレコーディングしました。このアルバムはクラシック・ソウルの要素を取り入れ、ゴスペルチャートで32位を記録するなど、初期の成功を収めました。

この成功により、アノインテッドはWord Recordsと直接契約を結び、プロデューサーのMark HeimermannとChris Harrisの手により、より洗練されたスタイルへと変貌を遂げます。2作目のアルバム「The Call」は白人クリスチャン・マーケットで大ヒットし、30万枚近くを売り上げ、グラミー賞にノミネートされ、ダブ賞を3つ獲得しました。シングル「It’s in God’s Hands Now」はR&Bシングルチャートで40位、クラブチャートで37位を記録しました。

しかし、彼らの音楽がCCMラジオで受け入れられたことに対するネガティブな解釈には彼ら自身が悩まされました。「それは誤解だ」とデニス・ウォールズはGospel Industry Today誌に語りました。「多くの人は、私たちが最初にゴスペル・レーベルと契約して、その後CCMに移行したと思っていますが、実際は最初からコンテンポラリー・クリスチャン・アーティストとして活動していました」。

アノインテッドは、金や名声を追求するためではなく、信仰と音楽への情熱からCCM界で活動していたことを強調しています。

4人体制の崩壊~デュオへの変換

1990年代半ば、アノインテッドの成功は絶頂期を迎えていましたが、内部の問題も同時に生じ始めていました。メアリー・ティラーは、グループ内の不公平な扱いとコンサルタントによる搾取に耐えかね、脱退する決断をしました。彼女はグループとそのマネージメントに対して250万ドルの訴訟を起こし、その中でマネージャーからのセクハラを主張しました。「この訴訟は私が決して意図していなかったことです」とティラーはCCM誌に語っています。

アノインテッドは幼馴染によって結成された仲の良いグループでしたが、名声と規模の拡大に伴い、多くの人間が関与し、ネガティブな出来事が生じるようになりました。「あの時、私たちにできることは何もなかった」とデニス・ウォールズは後にCCM誌に簡潔に述べています。

トリオとしての活動を続けたアノインテッドでしたが、1999年にはウォールズもグループを脱退しました。デュオとなったクロフォード兄妹は、アーバンテイストのサウンドを追求し、2002年にアルバム『If We Pray』をリリースしましたが、セールスは期待に達しませんでした。

この時期、ワード・レコードはワーナー・ミュージック・グループに売却され、ブラックミュージック部門が閉鎖され、アノインテッドは登録メンバーから外されました。しかし、彼らはすぐにソニー・ミュージックのゴスペル部門と契約を結びました。

一方、ティラーは夫のラリーとともにメアリー・ティラー・ミニストリーを運営し、現在も教会の集会で歌い、講演活動を行っています。また、彼女は自身のレーベル「Eve of Destiny」から「The Journey」というCDをリリースしています。

元ネタ:The Gospel Legend.com, The Gospel Music Encyclopedia , Gospel Industry Today, Wikipedia ほかいろんな本やネットの情報や過去に先輩に教えてもらった知識