Andrae Crouch / アンドレ・クロウチ

アンドレ・クラウチは、現代ゴスペル音楽の最も著名で広く尊敬されている先駆者の一人でした。

クラウチは、コール・アンド・レスポンスや聖歌隊といった古典的なゴスペル音楽の要素と、ポップなソングライティングの技術やプロダクションを組み合わせることにより、数え切れないほどのアーティストに影響を与えました。

1942年7月1日、カリフォルニア州サンフランシスコで生まれたクラウチは、ロサンゼルス地域の父の教会で音楽活動を始め、歌い、ピアノを弾き、10歳になる前には自分で曲を作っていました（独学でした）。

1960年代初頭に、彼は最初の本格的なゴスペルグループ、アンドレ・クラウチ＆ザ・ディサイプルズを結成しましたが、彼らが初めてアルバムをリリースしたのは1977年で、「This Is Another Day」というタイトルでした（その後、「ディサイプルズ」という名前は使われなくなり、アルバムはクラウチ個人の名前でクレジットされました）。

クラウチのキャリアは急速に発展し、1978年のセルフタイトルアルバム、1981年の「Don’t Give Up」、1982年の「Live at Carnegie Hall」、1997年の「Pray」、1998年の「Gift of Christmas」など、注目すべきアルバムを次々とリリースし続けました。また、彼は「My Tribute (To God Be the Glory)」や「The Blood Will Never Lose Its Power」といった現代のゴスペルクラシックを作曲しました。

その後はゴスペル・アーティストとしてだけではなく作曲家、アレンジャー、プロデューサーとしてその才能を発揮し、生涯にわたって数々の賞を受賞したことで知られています。彼は7回のグラミー賞を受賞し、ハリウッド・ウォーク・オブ・フェームにも名を刻みました。

レコーディングにおいては、スティーヴィー・ワンダーやチャカ・カーンといった著名なミュージシャンとの共作を多数発表しています。さらに、ボブ・ディラン、ポール・サイモン、エルビス・プレスリーといった多くの有名アーティストが彼の楽曲をカバーしました。

1980年代以降のプロデュース業績には、マイケル・ジャクソンの「Man In The Mirror」やマドンナの「Like a Prayer」、エルトン・ジョンとリトル・リチャードのデュエット「The Power」でのコーラス監修などが含まれます。

映画音楽の分野でも活躍しており、スティーヴン・スピルバーグ監督の『カラーパープル』への楽曲提供や、ディズニーのアニメーション映画『ライオン・キング』でのコーラスアレンジを手掛けるなど、その才能を幅広く発揮しています。

クラウチは1998年にゴスペル音楽の殿堂入りを果たしました。その直後、彼を称えたトリビュートアルバム「Tribute: The Songs of Andraé Crouch」がリリースされました。このアルバムには、ブルックリン・タバナクル・クワイア、テイク6、ウィナンズなどによるクラウチの曲の精力的な演奏が収録されており、パティ・オースティン、ビービー・ウィナンズ、スーザン・アシュトン、ヴェスタル・グッドマンらが参加した70人のオールスター聖歌隊によるアルバムのフィナーレ「My Tribute (To God Be the Glory)」が含まれています。

多数のゲスト出演とハードなツアースケジュールの中、クラウチは2005年に「Mighty Wind」をリリースし、これは彼の録音デビュー40周年を記念する作品でした。その後、「The Journey」が2011年に、「Live in Los Angeles」が2年後に続きました。

彼は2015年初め、72歳で心臓発作で亡くなりました。