Steal Away / Trad. Spirituals / 黒人霊歌

黒人奴隷によって歌い継がれた歌
「Steal Away to Jesus(ステイル・アウェイ・トゥ・ジーザス)」という曲の歌詞とメロディは、ウォレス・ウィリスという奴隷だった人が作りました。彼は、後に解放されて、オクラホマ州のヒューゴに住むチョクトー族の自由人となりました(この地域は、2020年7月9日のアメリカ最高裁判所の判決によって、再びチョクトー族の保留地の一部となりました)。ウォレス・ウィリスの孫は、祖父と祖母がたくさんのオリジナルの歌を歌っていたと記憶していましたが、中でも「Steal Away(ステイル・アウェイ)」と「Swing Low, Sweet Chariot(スウィング・ロウ、スウィート・チャリオット)」が最も有名です。
1862年、チョクトー族の寄宿学校で働いていたアレクサンダー・リードという牧師が、ウォレス・ウィリスと彼の妻ミネルヴァが歌っているのを聞き、その歌詞とメロディを書きとりました。彼はその後、この曲などをテネシー州ナッシュビルにあるフィスク大学の「ジュビリー・シンガーズ」という合唱団に送りました。この合唱団は、「Steal Away」や「Swing Low, Sweet Chariot」などを、国内や海外のツアーで歌い広めました。
この賛美歌は、イエスと一緒になることを願う(死によって)精神的な望みを表現しているとも解釈できますし、地下鉄道(逃亡奴隷を助ける秘密のルート)の暗号メッセージとして、奴隷からの自由を約束するものだとも言えます。この曲の聖書に基づいた背景(出エジプト記19章16-23節)は、どちらの解釈にも力強く関連しています。モーセと荒野をさまようイスラエルの民の物語は、多くのアフリカ系アメリカ人の霊歌と深く結びついています。奴隷制度から逃れ、何度も南部に戻って他の人々を自由に導いた地下鉄道の偉大なリーダー、ハリエット・タブマンは、「モーセ」として知られていました。
「Steal Away to Jesus」の歌詞は、現代も私たちに確信を与えてくれます。苦難は永遠に続くわけではなく、主が私たちを導き、あるべき場所へ連れて行ってくださるのだと信じることができるのです。
「主が私を呼んでいる、雷鳴の中で呼んでいる。ラッパの音が私の魂に響き渡る。ここに長くは留まらない。」
無理やり歌詞解説&聖書照会
Steal away, steal away, steal away to Jesus!
逃げて、逃げて、イエスのもとへ逃げて!
マタイ 11:28 「すべて疲れた人、重荷を負っている人は、わたしのところに来なさい。わたしがあなたがたを休ませてあげます。」
この歌詞は、イエスに逃れることが、人生の苦しみや疲れからの避難所となることを示しています。イエスのもとに行くことで、心の安らぎと癒しを見出すことができるのです。
Steal away, steal away home, I ain’t got long to stay here
逃げて、逃げて、家に帰る、ここには長く留まれない
フィリピ 3:20 「しかし、私たちの国籍は天にあります。」
この部分は、地上での生活が一時的であり、最終的な帰る場所は天にあることを示唆しています。クリスチャンにとって、この世の困難は永遠ではなく、天にある故郷が待っているという希望が与えられています。
My Lord, He calls me, He calls me by the thunder
主は私を呼ぶ、雷の音で私を呼ぶ
ヨハネ 12:28-29
「父よ、御名の栄光を現してください。」すると、天から声が聞こえた。「わたしはすでに栄光を現したし、再び栄光を現そう。」そこにいた群衆は、それを聞いて「雷が鳴ったのだ」と言い、他の人々は「御使いが彼に話したのだ」と言った。
ここでの「雷」は神の声や呼びかけを象徴していることがよくあります。神が雷のように大きな声で私たちを呼び、注意を引く瞬間を表しています。これは、神が私たちの人生において常に呼びかけ、導こうとしていることを思い起こさせます。
The trumpet sounds within my soul, I ain’t got long to stay here
ラッパの音が魂の中で鳴り響く、ここには長く留まれない
1コリント 15:52 「終わりのラッパとともに、たちまち、一瞬のうちに変えられます。ラッパが鳴ると、死者は朽ちないものとしてよみがえり、私たちは変えられるのです。」
ラッパの音は、終わりの日、または霊的な覚醒を象徴しています。この歌詞は、霊的な目覚めや、永遠の世界への移行が迫っていることを表しています。地上での時間は限られており、心の準備をし、神の呼びかけに応じる必要があるというメッセージです。
Green trees are bending, Poor sinners stand a trembling
緑の木々がしなる、罪人たちは震えて立つ
ルカ 21:29-30 「イエスはたとえを話された。『いちじくの木や、すべての木を見なさい。芽が出ると、それを見てすぐに夏が近いことが分かります。』」
黙示録 6:15-16 「地の王たちや高官たち、富む者、強い者、すべての奴隷と自由人も、ほら穴や山々の岩の間に身を隠した。そして、山々や岩に言った。『私たちの上に倒れかかって、御座におられる方の御顔と、小羊の怒りから私たちを隠してくれ』」
この歌詞は、終わりの日や神の裁きの象徴として、自然界(しなる木々)と人々の恐怖(罪人の震え)を対比しています。神の裁きの日には、自然がそのしるしを見せ、人々は自らの罪に直面し、震えながら立つことになるという警告のイメージです。それは、悔い改めの時が迫っていることを強く感じさせる場面でもあります。

投稿者
kingbee33@gmail.com
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