ヴォイトレ用語~胸声・頭声・中声・その他


 

声域の種類を知ろう!!

レッスンの最初はいつも発声練習を行いますが、見ていると歌が上達する人とそうでない人では、発声練習の段階で大きな違いがあるのが分かります。

最も大きな違いは声色(音色)の使い分けを意識しているかどうかです。ロック、SOUL、R&B、ゴスペルなどではクラシック唱法ではあまり良しとはされない様々な音色を使います。その目的は音楽ジャンルのスタイルに合わせた表現です。

しかしこれから歌を始める人、もしくは入門したての初心者の方はそういった声色に種類があることを知らない人もいます。ここでは少しでも歌をうまく歌いたいという気持ちをお持ちの方にとっては、知っておいて損はない「声域」の種類についてお話します。

女性の声域

女性の声は大きく分けると胸声、中声、頭声と区分できます。

これは音域に対しての区分で、クラシック音楽はもともとマイクなどの増幅器がない時代、楽器に負けないよう観客に声を伝えるためには高音域の開発が重要であったため、「頭声(ヘッド・ヴォイス)」を優勢としました。

しかし現代は音響機器の普及により、それまでは聴こえなかった音域での歌唱が可能になりました。声楽を学ぶことのない一般大衆による生活の中から生まれたワークソングやストリート・ミュージック、ポピュラー・ミュージックの普及により、低音域の「胸声(チェスト・ヴォイス)」もしくは頭声と胸声の中間にある「中声(ミドル・ヴォイスもしくはミックス・ヴォイス)」が現代の歌唱としては優勢となっています。

これとは別に頭声区よりもさらに高い音域である「フルート声区」を持つ人もいます。完全に頭部に突き抜けた共鳴音で、マライア・キャリーやミニー・リパートンなどが有名です。

男性の声域

男性にも頭声、中声、胸声はありますが、ごく稀な場合を除いてほとんどの人が女性の平均的な音域よりも低いので、女性ほど中声~頭声の区別は明確ではありませんでした。

どちらかというと胸声~「裏声(ファルセット)」の使い分けが長く主流でした。(ダニー・ハサウェイやステーヴィー・ワンダーなどのNew Soul以降のR&Bでは新しい中声、頭声が目覚ましく開発されています)

50年代のゴスペル・カルテットや60~70年代のソウル・コーラス・グループでは多くのファルセット専門のシンガーが活躍していました。彼らは単に高音域を担当しているのではなく、ファルセットという独特な音色だけを使い、その表現力を極めた素晴らしい名演を数多く残しました。

その他の歌唱スタイル

上では音域に対しての区分を紹介しましたが、現代のポピュラー・ミュージックにおいては、それぞれの声域に対して技術的に声色を変化させるユニーク歌唱法がいくつも存在しています。

例えばベルティングという胸声区のパワーを維持したまま中声をミックスする歌唱法は2000年以降の女性R&Bスタイルには欠かせない唱法ですし、スピーチ・レベル・シンギングという話し声の喉の使い方をそのまま歌声として作り上げる手法など、声楽においてはタブー以前のような発声法が現代の音楽では主流となっています。

また「シャウト」という声帯を強くこすり合わせることで生まれる効果的なディストーション系のサウンドや、逆に声に空気を多く含ませる「ハーフ・トーン」、さらに空気量を多くし囁くような優しい音色を生み出す「ウィスパー・ヴォイス」、シャウトとハーフをミックスさせた「ハスキー・トーン」などはブルースやソウル・ミュージックで開発された現代的な歌唱法だといえます。

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