My マイクを持とう!

ゴスペル・クワイア「Satisfy My Soul」では、数々の人前で歌う機会が用意されています。

きらびやかな照明のあるプロ仕様の大きな舞台もあれば、教会の礼拝堂もあり、または病院や老人ホーム、商店街や町おこしのお祭りなどで野外で歌うこともあります。

ほとんどのステージでは、私たちはマイクを使ってパフォーマンスをするわけですが、ヴォーカリストになりたての頃はステージの上でこのマイク・ワークがうまくできなくて苦労するものです。

たとえばよくある失敗としては、マイクの角度や距離が不適切で声が上手く入らなかったり、また本番前のサウンド・チェックなんかでマイクが入ってるかどうか確認するときに、よく政治家のオッサンがやるようにマイクを叩いて音響さんに叱られたり、床置きのモニター・スピーカーに不用意に近づけてしまって「キーーーン」と大音響でハウリングさせてしまったり・・・。

まあこんな失敗は誰もが初めの方はやってしまうし、それで注意されて覚えていくものではありますが、ライブハウスの経営者やイベントの外注の音響さんなんかは高価な自前の機材を何も知らないような素人さんに適当に扱われて、運が悪ければスピーカーが飛んだりマイクがぼこぼこにへこんでしまうのですからそりゃあ怒りたくなる気持ちもわかります。

まあ怒られるだけで済めばいいのですが、マイクや機材の使い方も知らないと思われた段階で、音響さんにしてみれば「素人のままごと」に一日付き合わされるということが決定したようなものなので、当然プロを相手に「いい作品をともに作ろう」という熱い思いも根こそぎ失い、適当な音つくりで「とにかく早く終わらせてとっとと飲みに行こう」みたいな気分になる場合もあります。

受講生の皆さんには、いつもレッスンで「歌の練習をきちんとするなら、ちゃんと吸音材の入った音楽スタジオを個人練習で借りて、マイクを通した音をスピーカーから出して練習するべき」と言ってます。でも実際はこの手間と時間、お金をケチってしまい、車の中やお風呂、リビングなどで済ませてしまう方が多いのではないでしょうか?「ちゃんと歌えるようになったらスタジオに入ろう」みたいに先延ばしにして、実際にスタジオで練習するのはライブの直前。そして歌いすぎて声がガラガラみたいな・・。

前述のマイク・ワークの失敗、そしてスタジオ練習の不足。それを解決するための近道として、僕がみなさんに提案したいのは「マイ・マイクの購入」です。そこらへんの大手家電ショップのオーディオ・コーナーのオーディオ・ケーブルの陳列棚の下の方にぶら下がってるカラオケ用マイクではありません。箱に「高音質・プロ仕様」と書いていても買ってはいけません。作りが全然違いますから。

いっぱしの歌を人前でしっかりと歌いたいのであれば、ライブ・ハウスやホールなどで使われているちゃんとしたステージ用のマイクを買いましょう。

ステージで一番見かける無難なマイクとしては、SHURE社のSM-58というモデルではないかと思います。これはヴォーカルに特化した単一指向性ダイナミック・マイクロフォンとしては永遠のベスト・セラー機種。もっともポピュラーなものです。

日本のゴスペルの世界は女性が大半ですが、僕個人の見解ですけど、一般的なアルト・ソプラノの音域の方には同じSHURE社のBETA-58Aというマイクがおすすめです。SM-58と比べて音圧が高いのと高音域のヌケがよいこと。あとハウリングしにくいので女性ヴォーカル向けだと思っています。

あと価格も高価になりますが、バラードなどでより繊細なタッチを表現したい方には、ハンド・ヘルド型コンデンサー・マイクもおすすめです。コンデンサー・マイクは主にレコーディングなどで使用されるものですが、このモデルはライブ向けに開発されており、つぶやくようなバラードを歌った時の繊細な抜けは本当に気持ちがいいです。定番としてはSHURE社のBETA-87Aでしょう。(これに関しては普通にミキサーに繋いだだけでは音は出ません。なぜ出ないかはあえて説明しません。繋いだあとに1プロセス必要です。これはスタジオで経験して覚えた方がいいと思います。その経験は必ずライブ会場で役に立ちます。)

決して安い買い物ではないと思いますが、でも高価なマイ・マイクを持てば、誰でもやはりそのマイクをミキサーにつないで大きな音で使ってみたくなるはずです。おのずとスタジオに行って練習したくなるでしょう。

また自分たちがステージで使わせてもらってるマイクも、同じようにライブハウスや音響さんがお金を出して買った大切な機材であることが実感できるので、むやみに叩いたり、床に落としたりということもできなくなると思います。

そして最後に、これこそが「マイ・マイク」の最大の効果だと思いますが、「ヴォーカリストとしての自覚」、プロのパフォーマーとしての意識の向上、歌に対するモチベーションが格段に上がります。とにかくいいマイクを使えば、単純に上手くなった気がしますし、またもっとうまく歌うための探求心があがります。

いつも言ってますが、ヴォーカリストは「本気」になるより、「その気」になる方が大事です。

本気になったところで、今までの技術を使って一生懸命歌うだけですが、その気になりさえすれば、今まで使ったことのない声や技術が潜在能力から引き出されます。

ちょっぴり高い買い物ではありますが、飲み会を何回か家飲みに変えればいいだけのことですので、ぜひぜひやってみてください!!将来の自分に投資するつもりで!!!

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